この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
依頼者の父が死亡して1数年が経ち,依頼者の母が死亡して数年が経過しても,亡父・亡母の両方の遺産分割に関する問題が決着していませんでした。そのため,相手方ら共同相続人から遺産分割調停を申立てられました。依頼者は,両親が相手方らに生活費を超える金額の送金を続けていたという「生前贈与」があるとおっしゃっており,断片的ではあるが,その一部は証拠が残っていました。
解決への流れ
依頼を受けた当職は,死後に残されていた現金書留の封筒や,取引履歴を丁寧に分析し,精査いたしました。特別受益の主張は,どのような親子関係・家族関係があり,亡父・亡母がどのような意図で,現金等を贈与しようとしたのかについて,具体的かつ正確に把握する必要があります。本件では,調停の手続のなかで,過去10年から20年以上前の生前贈与について,丁寧な主張や立証を尽くした結果,それを考慮した解決案が認められることになりました。
遺産分割の場合,生前贈与を考慮して遺産分割案とするか,考慮しないかにより,かなり分割の内容が異なってくることが多いと思われます。遺産分割調停では,家庭裁判所のさまざまな調停手続のなかでも,特に,証拠に基づいて過去のお金の動きを把握し,整理した上で,調停手続のなかで正確に説明することが求められます。過去の経緯についての断片的な証拠しか残されていないことも多いですが,生前での口頭でのやりとりといった背景事情も含め,丁寧かつ的確に「主張書面」や「証拠」を提出することが重要と考えています。